
PBR 1倍割れから抜け出しそうな会社を探す:ROE の3期の改善の勢いを測る
企業データラボ
PBR は ROE と PER の掛け算に分けられます。PBR 1倍割れの会社のうち、ROE が3期で改善し続けている会社を探す式と、今の勢いで ROE 8%に何年で届くかを計算する方法を解説します。
PBR 1倍割れのこの会社は、これから見直されるのか?見極めたくありませんか
- PBR が低いのは割安だからか、低い評価が妥当だからか
- ROE は一時的ではなく、続けて改善しているのか
- 今の勢いが続けば、ROE 8%に何年で届くのか
PBR(株価純資産倍率)が1倍を下回る会社は、市場から「株主から預かった資本を十分に活かせていない」と見られている会社です。東京証券取引所が資本コストや株価を意識した経営を求めたこともあり、PBR 1倍割れの改善は、多くの上場会社にとって経営の課題になっています。
ただ、PBR が低いだけでは、割安なのか、低い評価が妥当なのかは分かりません。今期の ROE が高くても、一時的な利益によるものなら市場はすぐには評価しません。改善が続いているかを確かめるには、何期分もの利益と自己資本をさかのぼって ROE を計算し直す必要があり、PBR 1倍割れの会社すべてで調べるのは手作業では困難です。
ROE の3期の改善の勢いを測る式で、その疑問に答えられます
PBR は、株主資本の効率(ROE)と、利益に対する市場の評価(PER)の掛け算です。PER が同じままでも、ROE が上がれば PBR は上がります。3期続けて ROE が上がっている会社は、収益力の改善や資本政策の見直しが実を結んでいる可能性が高く、PBR が見直されるきっかけになりやすいと考えられます。
この記事の ROE は期首と期末の平均の自己資本で計算するので、この関係はおおよそ成り立つ近似です。PER と PBR の基本は「PER と PBR の違いと使い分け:株価の割安・割高をどう見るか」、ROE を3つの要素に分ける方法は「ROE を3つに分けて読む:デュポン分析の考え方」で説明しています。
ステップ1:今期と2期前の ROE
ROE の分母は、期首と期末の自己資本の平均を使います。
ステップ2:改善の勢いと続き具合
改善の勢いは、2年で ROE が何ポイント上がったかを1年あたりにしたものです。「2年続けて改善」は、2年とも上がっていれば1になります。
ステップ3:ROE 8%に何年で届くか
今の勢いが続いた場合に、ROE がひとつの目安とされる8%に届くまでの年数です。
ステップ4:PBR の低さと組み合わせる
PBR 1倍で0点・0.5倍以下で満点の「低さ」、2年続けての改善、年2ポイント以上の改善の勢い、の3つを掛け合わせた点数です。どれか1つでも欠ければ0点になります。
計算例
ROE が2期前3.0%、1期前4.2%、今期5.0%の会社では、改善の勢いは年1.0ポイントで、2年続けて改善しています。8%までは3ポイントなので、到達まで約3年です。PER が12倍なら今の PBR は約0.6倍ですが、PER が同じまま ROE が8%になれば、PBR は約0.96倍になる計算です。
使い方
- 投資家:点数の高い会社について、ROE の改善が利益率・回転率・財務レバレッジのどれによるかを、デュポン分析で確かめる
- 経営企画・IR:自社の ROE の改善の勢いを競合と比べ、PBR 改善の計画が市場の期待に沿っているかを確かめる
注意点
- ROE が自社株買いや借入の増加だけで上がっている場合、収益力の改善ではない
- 特別利益で純利益が膨らんだ年は、ROE が一時的に高く出る
- 改善の勢いがマイナスまたはゼロの会社は、到達年数が意味を持たない(マイナスや空欄になる)
- PER も変わるため、ROE が8%になっても PBR が1倍を超えるとは限らない
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「PBR 見直し候補の点」で並べ替えれば、PBR 1倍割れの会社の中から変わり始めている会社が上に並びます。経営企画・IR の方は、自社と競合の ROE の改善の勢いを並べて比べられます。
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