
競合の設備投資の積極度を測る:3年累計の設備投資 ÷ 減価償却費で投資の局面を見る
企業データラボ
設備投資を減価償却費で割った倍率を3年累計で計算し、競合が投資を拡大しているのか、抑えているのかを見分ける式を紹介します。前の3年との比較で投資の加速を見る方法や、投資の成果を確かめる式も解説します。
競合は今、設備投資で攻めているのか、守っているのか?つかめていますか
- 競合は設備を増やしているのか、今の設備を保っているだけなのか
- 前の数年と比べて、投資を強めているのか弱めているのか
- その投資は、売上の伸びにつながっているのか
競合が工場や店舗、システムにどれだけお金を投じているかは、数年後の競争力を左右します。経営企画にとっては、競合が攻めの局面にいるのか、守りの局面にいるのかを知る手がかりになります。
ただ、設備投資は大きな工場を建てた年に集中するなど、年ごとの波がとても大きい支出です。1年だけで比べると、たまたま投資の多い年・少ない年に当たってしまいます。競合ごとに6年分のキャッシュ・フロー計算書を集めて集計するのは、手作業ではかなりの手間です。
3年累計の「設備投資 ÷ 減価償却費」で、その疑問に答えられます
減価償却費は、今ある設備が1年でどれだけ古くなったかを表し、「今の設備を維持するのに必要な投資」の目安になります。設備投資が減価償却費とほぼ同じなら、今の設備を保っているだけです。設備投資が減価償却費を大きく上回っていれば、設備を増やしている(拡大の局面)と読めます。3年分を合計して比べると、年ごとの波がならされ、その会社の投資の姿勢が見えてきます。
ステップ1:3年累計の設備投資倍率
ステップ2:前の3年と比べて、投資は加速しているか
6期分のデータを使い、直近3年と、その前の3年を比べています。プラスなら投資を強めている、マイナスなら弱めていることを表します。
ステップ3:売上に対する投資の重さ
ステップ4:投資は売上につながっているか
設備を増やしても、売上が伸びなければ効率は落ちます。有形固定資産1円あたりの売上高が、3年前と比べてどう変わったかを見ます。
計算例
直近3年の設備投資が120億円・150億円・180億円、減価償却費が毎年100億円の会社では、設備投資倍率は 450 ÷ 300 = 1.5倍です。前の3年が1.0倍なら、投資の加速は0.5で、この3年で拡大の局面に入ったことが分かります。
読み方
- 1.5倍以上:積極的に設備を増やしている。数年後の供給力や競争力の向上が見込まれる一方、需要が伸びなければ過剰な設備になるおそれ
- 1倍前後:今の設備を保っている
- 1倍を下回る:投資を抑えている。手元資金を残す局面か、設備が古くなっていく局面か
経営企画での使い方
自社と競合の設備投資倍率と投資の加速を並べると、業界の中で誰が攻めているかが分かります。競合が一斉に投資を強めていれば、数年後に供給が増えて価格の競争が激しくなるかもしれません。設備の回転の変化とあわせて見れば、投資が成果につながっている会社とそうでない会社も見分けられます。投資が資本の効率にどう表れているかは、「増分 ROIC と再投資率:成長に使ったお金がどれだけ利益を生んだかを測る」の増分 ROIC で確かめられます。
注意点
- M&A で設備を手に入れた場合は、設備投資の支出に入らない
- リースで設備を使っている会社は、設備投資が少なく見えることがある。とくに IFRS16 を適用する会社(小売など)では、リースで使う資産(使用権資産)の償却が減価償却費に入る一方、設備投資の支出には入らないため、倍率が低く出る
- 無形資産(ソフトウェアなど)への投資の扱いは、会社によって違うことがある
- 6期分のデータが無い会社は、前の3年との比較が空欄になる
企業データラボなら、競合の投資の局面を同じ定義で一度に比べられます
企業データラボでは、キャッシュ・フロー計算書の項目も「[N]」で過去の期までさかのぼって式に使えます。3年累計どうしの比較のように手作業では手間のかかる集計も、式を1つ作れば約3,700社すべてに当てはまります。
自社と競合を選んで並べれば、設備投資倍率・投資の加速・設備の回転の変化を同じ定義で比べられます。業界全体で投資の加速の大きい順に並べ替えれば、どの会社が攻めの局面にいるかも一覧で分かります。
6期分の設備投資と減価償却費を使った投資の局面の比較も、競合を選ぶだけで同じ定義で並べられます。
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