
営業利益率の差の要因分析:原価率と販管費率に分けて3期の推移で競合と比べる
企業データラボ
競合より営業利益率が低いとき、原因が原価にあるのか、販売費・一般管理費にあるのかで打ち手は変わります。営業利益率の差を原価率と販管費率に分ける差異分析を、3期の合計で見た水準と3期前からの変化で行い、差がどこで生まれ、広がっているかを確かめる式を紹介します。
競合との利益率の差は、どこで生まれているのでしょうか
- 営業利益率の差は、原価と販管費のどちらから来ているか
- その差は昔からの構造の差か、最近広がったものか
- 業界の中で、自社の原価率・販管費率はどの位置にあるか
「競合より営業利益率が5ポイント低い」と分かっても、それだけでは何を直せばよいか分かりません。しかも1年だけの差は、原材料の値上がりや広告の大型投資など、一時的な要因で生まれていることがあります。
差の中身を確かめるには、自社と競合それぞれの有価証券報告書を何期分もさかのぼり、原価と販管費を売上高で割り直して並べる必要があります。競合が数社あれば、それだけで大きな手間になります。
原価率と販管費率に分けて、3期の推移で比べます
営業利益率は、売上高から売上原価と販売費及び一般管理費(販管費)を引いて残った割合です。差を原価と販管費に分けると、どこに手を打つべきかが見えてきます。さらに、3期の合計で見た水準と、3期前からの変化を並べると、「もともとの構造の差」なのか「最近広がった差」なのかを区別できます。
業界ごとの営業利益率の水準の違いや、比べるときの基本の注意点は「営業利益率とは?計算式と業界比較のときの注意点」で説明しています。この記事は、その差を要因に分けて追いかけるための、一歩進んだ使い方です。
部品の列:今の水準
まず今期の原価率と販管費率を出し、次に3期の合計で見た水準と3期前からの変化を出します。
部品の列:3期の水準と変化
3年変化の2つの列を足すと、3期前からの営業利益率の変化(の符号を逆にしたもの)に近くなります。どちらの列が大きく動いたかで、利益率の変化が原価から来たのか、販管費から来たのかが分かります。
計算例
自社の原価率が72%、販管費率が20%で営業利益率が8%、競合の原価率が65%、販管費率が22%で営業利益率が13%だったとします。差の5ポイントは、原価で7ポイント負け、販管費で2ポイント勝っている結果です。さらに自社の原価率が3期前の68%から72%に上がっていれば、原価率の3年変化は+4ポイントで、差は最近の原価の上昇で広がったと分かります。
競合と並べて読む
- 原価率の差が大きい:仕入れの条件・生産の効率・製品の構成(高い利益の製品の割合)の違い
- 販管費率の差が大きい:営業の体制・広告・本社の費用の重さの違い
- 3年変化で差が広がっている:一時的な要因ではなく、構造的に差がつきはじめている可能性
- 原価率の上昇が原材料の値上がりによるものなら、それを販売の価格に転嫁できているかを「値上げを価格に転嫁できているか:売上総利益率の3〜5期の推移で確かめる」の式で確かめる
注意点
- IFRS の会社は、その他の営業収益・費用が営業利益に入るため、100% − 原価率 − 販管費率 と営業利益率が一致しないことがある
- 原価と販管費の線引き(物流費・研究開発費など)は会社によって違う
- 決算期の違う会社は、近い期どうしを並べる
企業データラボなら、利益率の差の要因を競合と一度に比べられます
企業データラボでは、「[1]」〜「[3]」で過去の期を参照できるので、3期の水準も3期前からの変化も1つの式で書けます。競合分析の画面で比べたい会社を選んでこれらの列を並べれば、自社と競合の差がどこで生まれ、広がっているかが1つの表で分かります。
式を一度作れば、同じ定義で約3,700社すべてに当てはまるので、業界の全社の中での自社の位置もすぐに確かめられます。
自社と競合の原価率・販管費率を3期分の推移とあわせて1つの表に並べ、差の生まれた場所を確かめられます。
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