
不況に強いディフェンシブな会社を探す:5期の最低と中央値で落ち込みを測る
企業データラボ
過去5期の営業利益率の中央値と最低値の差から、景気が悪い年にどれだけ利益が落ち込む会社かを測る式を紹介します。売上の最大の落ち込み、底からの回復度とあわせて、不況に強い会社を見分ける方法を解説します。
景気が悪くなったとき、この会社の利益はどこまで落ちるのか?気になりませんか
- 不況の年に、利益率がどこまで下がった会社なのか
- 売上が落ちたとき、利益も一緒に崩れる会社なのか
- 落ち込んだあと、ふだんの水準まで戻れているのか
景気が悪くなったとき、利益がどれだけ落ちるかは、会社によって大きく違います。ふだんの利益率が同じ10%でも、不況の年に8%で踏みとどまる会社と、赤字に転落する会社があります。
ところが、不況への強さは直近の1年の数字からは分かりません。実際に悪い年を経験したときにどこまで落ちたかを見るには、何年分もの決算を並べる必要があり、全上場企業で比べるのは手作業では困難です。
5期の「ふだん」と「いちばん悪い年」を比べる式で、その疑問に答えられます
5期分を並べれば、その中のいちばん悪い年が、その会社にとっての「試練の年」です。過去5期の営業利益率から「真ん中の値(ふだんの水準)」と「いちばん低い値」を取り出して比べれば、不況への強さを数字にできます。見るのは「いちばん悪い年にどこまで落ちたか(底の深さ)」です。毎年の振れの大きさ(ばらつき)を見たいときは「利益の安定度を標準偏差で測る:5期の営業利益率のばらつきから安定企業を探す」、一度も赤字になっていないかは「5年間一度も赤字が無い会社を探す:5期分の判定を掛け合わせる」の式を使います。
ステップ1:ふだんの水準といちばん悪い年
ふだんの水準には、平均ではなく中央値を使います。平均だと、いちばん悪い年そのものに引っ張られてしまうためです。
落ち込み幅が小さいほど、悪い年でも利益率が崩れにくい会社です。5期最低がプラスなら、5年間で一度も営業赤字になっていません。
ステップ2:売上はどこまで落ちたか
利益の落ち込みが、売上の減少によるものか、コストの増加によるものかを見分けるため、売上高の前年比のうち最も悪かった年も出します。
売上は5%しか落ちていないのに利益率が大きく落ちた会社は、固定費が重い会社です。売上が20%落ちても利益率をあまり落とさなかった会社は、費用を売上に合わせて減らせる、柔軟なコスト構造を持っています。
ステップ3:底からどこまで戻ったか
今期の利益率が、いちばん悪い年からふだんの水準までの距離のどこまで戻ったかを表します。1ならふだんの水準まで戻った、1を超えればふだんより良い、0に近ければ底のままです。
計算例
営業利益率が4期前から順に10%・4%・8%・9%・11%の会社では、中央値は9%、最低は4%で、落ち込み幅は5ポイントです。今期の11%は、4%から9%までの距離(5ポイント)に対して7ポイント戻っているので、回復度は1.4です。悪い年を乗り越え、ふだんより高い水準にあることが分かります。
読み方と使い方
- 投資家:落ち込み幅が小さく、回復度が1以上の会社は、景気が悪くなっても持ち続けやすい
- 投資家:落ち込み幅は大きいが回復度が高い会社は、景気に敏感な会社。景気の回復局面で利益が大きく伸びやすい
- 経営企画:自社と競合の落ち込み幅を並べ、同じ不況でも自社だけ大きく落ちていないかを確かめる
注意点
- 5期の中央値と最低が同じ(5期とも利益率が変わらない)会社は、回復度の割り算の分母が0になり空欄になる
- 5期の中に景気の悪い年が無い場合、「いちばん悪い年」も平時の1年にすぎない。対象の期を7〜8期に広げると、より大きな景気の波を含められる
- 減損やリストラ費用など、一時的な費用が営業利益に入った年は、実態以上に落ち込んで見える
- 上場して5期に満たない会社は空欄になる
企業データラボなら、不況への強さを全上場企業で一度に比べられます
企業データラボでは、10期分の財務データを「[N]」で過去の期として参照でき、式を1つ作れば約3,700社すべてに当てはまります。落ち込み幅や回復度の列で並べ替えれば、不況に強い会社が上から並びます。
5期・7期・10期と期間を変えた列を並べれば、短い景気の波と長い景気の波の両方で比べられます。自社と競合を選んで並べれば、同じ不況の中で自社だけ大きく落ちていないかも確かめられます。
5期分の利益率の中央値と最低値を全上場企業で計算し、不況への強さで並べ替えられます。
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