
「魔法の公式」を再現する:益回りと3年平均の資本利益率で選ぶ
企業データラボ
ジョエル・グリーンブラットが広めた「魔法の公式」は、事業の質と割安さの2つだけで会社を選ぶ方法です。企業価値に対する営業利益の利回りと、3年平均の資本利益率を点数にして組み合わせる式を、企業データラボのカスタム列で紹介します。
「良い事業を安く買う」会社を、日本株でどう探しますか
- 事業全体の値段に対して、よく稼いでいる会社はどこか
- 少ない資本で高い利益を、景気に左右されず出せている会社はどこか
- その両方がそろった会社を、全上場企業から選べないか
「魔法の公式」は、米国の投資家ジョエル・グリーンブラットが著書で紹介した、シンプルな会社の選び方です。「良い事業」を「安い値段」で買う、という考えを、益回りと資本利益率の2つの数字に落とし込んでいます。
ただ、資本利益率は景気の良い年に一時的に高くなることがあり、1年だけで判断すると景気の山にいる会社ばかりを選んでしまいます。3年分の決算から資本を組み立て直し、さらに今の時価総額と組み合わせて全社を比べるのは、表計算ソフトで手作業で行うにはかなりの手間です。
益回りと3年平均の資本利益率を、点数で組み合わせます
- 益回り:営業利益 ÷ 企業価値(EV)。事業全体の値段に対して、どれだけ稼いでいるか(安さ)
- 資本利益率:営業利益 ÷ 事業に使っている資本。少ない資本でどれだけ稼げるか(事業の質)
資本利益率は3年の平均にして、その会社が安定して高い資本利益率を出せているかを確かめます。元の方法では、全社をそれぞれの数字で順位付けし、順位の合計で選びます。カスタム列は1社ずつ計算するため、ここでは順位の代わりに点数で組み合わせます。点数の作り方は「スクリーニングをスコアリングする式:MIN と MAX で条件を0〜100点に変える」で詳しく説明しています。
部品の列
企業価値(EV)に対する営業利益の利回りと、3年平均の資本利益率を計算します。
事業に使っている資本は、元の方法にならい「正味の運転資本(現金と短期の借入を除く)+有形固定資産」としています。ただし、小売や外食のように、仕入れの支払いより先に売上の現金が入る業種では、正味の運転資本がマイナスになります。そのままだと資本が小さすぎたりマイナスになったりして、資本利益率が極端な値になるので、計算した資本が有形固定資産より小さいときは有形固定資産を資本とし、「少なくとも有形固定資産の分は資本として数える」下限を置いています。のれんや無形の資産は含めないので、事業そのものの稼ぐ力が出やすい定義です。
点数にして組み合わせる
- 益回り:3%で0点、15%で満点
- 資本利益率(3年平均):10%で0点、50%で満点
計算例
時価総額1,000百万円、有利子負債200百万円、現金300百万円の会社の EV は900百万円です。営業利益が90百万円なら益回りは10%で、(10 − 3) ÷ 12 = 約0.58点。事業に使っている資本が3年とも300百万円で、営業利益も90百万円なら、資本利益率は30%で0.5点。魔法の公式の点は約54点です。
元の方法により近づけるには
順位で組み合わせたい場合は、益回りの列と資本利益率の列でそれぞれ一覧を並べ替え、両方で上位に入る会社を選びます。点数の式は、その手間を1つの列にまとめた近い方法です。EV の考え方は「EV/EBITDA 倍率とは?計算式と業種別の目安(上場企業2,801社の中央値)」も参考になります。
注意点
- 元の方法では、金融と公益の会社を外している。ここでも銀行・証券・保険・電力などは外して見る
- 正味の運転資本がマイナスの業種(小売・外食・サービスなど)は、資本が有形固定資産だけで数えられるため、ほかの業種より資本利益率が高めに出やすい。同じ業種の中で比べる
- 事業に使っている資本がとても小さい会社(資産の軽いサービス業など)は、資本利益率が極端に高くなる。上限で満点に切りそろえているのはそのため
- 時価総額は今の値、財務は直近の決算期末の値で、時点がずれる
企業データラボなら、「魔法の公式」を全上場企業で一度に
企業データラボでは、今の時価総額と、「[1]」「[2]」で参照する過去3期の財務の値を1つの式で組み合わせられます。式を1つ作れば約3,700社すべてに当てはまり、元の考え方を日本の上場企業にそのまま当てはめて試せます。
魔法の公式の点で並べ替えたり、業種で絞り込んで同じ業種の中で比べたりできます。益回りと資本利益率の列を並べておけば、元の方法のように両方の順位を確かめることもできます。
益回りと3年平均の資本利益率を約3,700社で計算し、「良い事業を安く」の候補を一覧で絞り込めます。
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