
スクリーニングをスコアリングする式:MIN と MAX で条件を0〜100点に変える
企業データラボ
「営業利益率10%以上」のような足切りの条件を、MIN と MAX だけで0〜1の点数に変える式を紹介します。収益力・割安さ・成長・安全性を1つの総合点にまとめ、全上場企業を順位付けする方法まで解説します。
条件で絞り込んだ結果、本当に良い会社から順に並んでいますか
- 営業利益率9.9%の会社は、10%の会社と比べて本当に劣っているのか
- 条件をすべて満たした会社の中で、どこから先に調べればよいのか
- 収益力・割安さ・成長・安全性を、まとめて1つの順位にできないか
スクリーニングでよく使う「営業利益率10%以上」「PER 15倍以下」といった条件には、弱点があります。9.9%の会社は落ち、10.0%の会社は残ります。0.1%の差で結果が分かれるうえ、条件を満たした会社どうしの順位も付きません。
しかも、収益力や成長は1年だけの数字で見ると、たまたまの年に振れます。何年分もの決算をさかのぼって平均や成長率を出し、さらに複数の指標を組み合わせて点数を付ける作業は、全上場企業を相手に手作業でするのは現実的ではありません。
条件を「点数」に変える式で、全社に順位を付けられます
条件を「満たす・満たさない」の2択ではなく、0〜1の点数に変えれば、境目の会社も公平に扱え、全社に順位が付きます。比べる演算子(> や <)を使わず、MIN と MAX だけで作れます。投資の基準を式にするまでの手順は、「独自の指標でスクリーニングする方法:投資基準を「式」にする」で紹介しています。
基本の形:下限で0点、上限で満点
考え方は「下限より悪ければ0点、上限より良ければ1点、その間はまっすぐ点数が上がる」です。式は次の1行です。
MAX(0, …) がマイナスを0に、MIN(1, …) が1を超えた分を1に切りそろえます。たとえば下限3%・上限15%で営業利益率が9%なら、(9 − 3) ÷ 12 = 0.5点です。低いほど良い指標は、(下限 − 値) のように引き算の向きを逆にします。
ステップ1:部品の列を作る
まず、点数のもとになる指標を1つずつ計算します。それぞれを1つのカスタム列(計算式で作る表の列)にしておくと、後の式から「CC:列名」で参照できます。部品に分けておくと式が読みやすくなり、直すときも1か所で済みます。
収益力は直近1年ではなく、3期の平均の営業利益率で見ています。1年だけだと、たまたま大口の受注があった年や、一時的な費用が出た年に点数が振れてしまいます。成長も3年の年平均成長率なので、点数のもとになる数字の多くが「複数年の実力」を表しています。
割安さに PER ではなく「益回り」(PER の逆数)を使うのがポイントです。PER は赤字の会社でマイナスになり、「低いほど割安」という読み方が崩れます。益回りなら赤字の会社は自然にマイナスになり、点数の式で0点に落ちます。
ステップ2:指標を点数に変える
- 収益力:3期平均の営業利益率3%で0点、15%で満点
- 割安:益回り2%(PER 50倍)で0点、10%(PER 10倍)で満点
- 成長:3年の年平均成長率0%以下で0点、10%で満点
- 安全:自己資本比率20%で0点、50%で満点
ステップ3:重みを付けて合計する
4つの点数に、重視する度合いの重みを掛けて足すと、100点満点の総合点になります。重みの合計を100にしておくと、点数の意味が分かりやすくなります。
一覧を総合点で並べ替えれば、条件の境目に関係なく、全上場企業の順位が付きます。上位の会社から順に中身を確かめれば、足切りの条件で見落としていた「惜しい会社」も拾えます。
応用:どうしても外したい会社は「ゲート」で0点にする
営業キャッシュ・フローが赤字の会社は、ほかの点数が高くても候補から外したい、という場合があります。そのときは、0か1になる「ゲート」の列を作って総合点に掛けます。
財務の値は百万円の単位で入っているので、営業キャッシュ・フローが1百万円でもプラスなら1000倍して1以上になり、MIN で1にそろいます(単位の違う値に使うときは、掛ける数を大きくします)。マイナスやゼロなら0です。比べる演算子が使えなくても、大きな数を掛けてから MIN と MAX で挟むと、「0より大きいか」を0と1で表せます。
足し算型と掛け算型の使い分け
重みを付けて足す方法は、どれか1つが弱くても他で補える「バランス型」の評価です。一方、4つの点数を掛け合わせると、どれか1つでも0点なら総合点も0になる「すべてそろっていること」を求める評価になります。
4乗根(1/4乗)を取っているのは、掛け算で点数が小さくなりすぎるのを戻し、100点満点にそろえるためです(幾何平均)。投資の候補を広く探すときは足し算型、条件を厳しく絞るときは掛け算型、と使い分けるとよいでしょう。
下限と上限の決め方
- まず指標の列だけを作り、一覧で並べ替えて分布を見る
- 下限は「これより下なら検討しない」水準、上限は「これ以上はどれも十分」と言える水準にする
- 業種で水準が大きく違う指標(営業利益率など)は、業種ごとに別の点数の列を作る
- 点数の列を作ったら、上位と下位の会社を何社か開いて、感覚と合っているかを確かめる
企業データラボなら、自分の基準の点数で全上場企業を並べられます
企業データラボでは、点数の式を一度作れば約3,700社すべてに同じ定義で当てはまります。3期平均や3年成長率も「[N]」で過去の期を参照する1行の式で書け、株価や決算が更新されるたびに計算し直されます。
総合点で並べ替える、業種で絞って比べる、気になる会社を競合と並べる、といった操作もその場でできます。自分の投資基準や社内の評価軸を、そのまま「点数の付いた一覧」にできます。
この総合点の式を約3,700社に当てはめ、3期平均・3年成長率を含めた点数で一覧を並べ替えられます。
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