成長の加速・鈍化を見分ける:前半2年と直近3年の CAGR を比べる

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5年の平均成長率が同じでも、成長が加速している会社と鈍っている会社があります。5年を前半2年と直近3年に分けて CAGR を比べる式で成長の勢いの変化を数字にし、売上と利益の伸びの差から成長の質も確かめる方法を解説します。

その会社の成長は、勢いを増しているのでしょうか、鈍っているのでしょうか

  • 5年の成長率が同じ会社のうち、最近になって伸びが速まっているのはどこか
  • 成長が鈍り始めている会社を、早めに見分けられないか
  • 売上の伸びに、利益はついてきているのか

5年で売上が1.5倍になった会社が2社あるとします。1社は最初の数年で伸び、最近は横ばい。もう1社は最初は伸び悩み、最近になって急に伸びています。5年の平均の成長率は同じでも、これからの見通しはまったく違います。

1年の伸び率は、大型の受注や為替でぶれます。一方、5年の CAGR(年平均成長率)は、5年の始めと終わりしか見ないので、途中の勢いの変化を隠してしまいます。勢いの変化をつかむには、何期分もの売上を並べて区切りごとに計算する必要があり、多くの会社で手作業でやるのは大変です。

期間を分けて CAGR を比べる計算式で、勢いの変化が分かります

考え方の要点は、5年を「前半2年」と「直近3年」に分けて、それぞれの CAGR を比べることです。期間を分けて CAGR を比べると、ぶれをならしながら、勢いの変化もとらえられます。CAGR の基本の計算方法は「売上高の成長率と CAGR(年平均成長率)の計算方法」で説明しています。

期間を分けて成長率を比べる

売上CAGR5年
5年の売上の年平均成長率(%)={(今期の売上高 ÷ 5期前の売上高)の5乗根 − 1}× 100
売上CAGR直近3年
直近3年の売上の年平均成長率(%)={(今期の売上高 ÷ 3期前の売上高)の3乗根 − 1}× 100
売上CAGR前半2年
前半2年の売上の年平均成長率(%)={(3期前の売上高 ÷ 5期前の売上高)の平方根 − 1}× 100
成長の加速
成長の加速(ポイント)= 直近3年の年平均成長率 − 前半2年の年平均成長率

前半2年は5期前から3期前まで、直近3年は3期前から今期までです。2つは重ならないので、勢いの変化をそのまま比べられます。成長の加速がプラスなら成長が速まっている、マイナスなら鈍っていることを表します。

計算例

売上高が5期前100億円、3期前110億円、今期146.41億円の会社を考えます。前半2年の CAGR は約4.9%、直近3年の CAGR は10.0%で、成長の加速は約5.1ポイントです。5年の CAGR は約7.9%で、これだけを見ると「そこそこの成長」に見えますが、実際は最近になって伸びが速まっています。

利益の伸びとあわせて見る

売上の伸びが加速していても、値下げや販売の費用で伸ばしているなら、利益はついてきません。営業利益の直近3年の CAGR と、売上の直近3年の CAGR の差を見ると、成長の質が分かります。

営業利益CAGR直近3年
直近3年の営業利益の年平均成長率(%)={(今期の営業利益 ÷ 3期前の営業利益)の3乗根 − 1}× 100
利益と売上の伸びの差
利益と売上の伸びの差(ポイント)= 直近3年の営業利益の年平均成長率 − 直近3年の売上の年平均成長率

プラスなら利益率が上がりながら伸びている、マイナスなら売上の伸びに利益が追いついていない、と読めます。

使い方の例

  • 投資家:成長の加速と利益と売上の伸びの差がどちらもプラスの会社を、成長株の候補にする(小型の会社に絞るなら「小型の成長株を式で探す:時価総額の小ささと3年の成長を1つの点数にする」の点数と組み合わせる)
  • 経営企画:競合の成長の加速を並べ、市場の中で勢いを増している会社を確かめる
  • 中期経営計画:自社の前半と直近の成長率を比べ、計画の成長率が過去の勢いと合っているかを確かめる

注意点

  • 5期前の値が無い会社(上場して間もない会社)は空欄になる
  • 始めの年の値が特に低い・高いと CAGR が偏る。売上高の推移を表でも確かめる
  • M&A で売上が大きく増えた年があると、成長の加速が実力以上に見える
  • 営業利益が赤字の年が入ると、利益の CAGR は計算できない(空欄になる)

企業データラボなら、成長が加速している会社を全上場企業から探せます

企業データラボでは、過去の期の値を「[3]」「[5]」で参照し、POW 関数と組み合わせて、期間を分けた成長率を1つの式で書けます。式を一度作れば約3,700社に同じ定義で当てはまり、成長の加速で並べ替えたり、利益と売上の伸びの差がプラスの会社だけに絞り込んだりできます。

自社と競合を同じ表に並べれば、市場の中で勢いを増している会社がひと目で分かります。決算のたびに計算し直されるので、勢いの変化を毎期追いかけられます。

5年・直近3年・前半2年の成長率を約3,700社に当てはめて、成長が加速している会社を探してみませんか。

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