
高配当の罠を避ける:3年の配当性向とフリーキャッシュフローで見抜く
企業データラボ
配当利回りが高く見える会社の中には、利益や現金の裏付けが無いまま配当を続けている会社があります。3年の合計どうしで計算した配当性向、3年の赤字、フリーキャッシュフローによる配当のカバー率から「罠」の度合いを点数にする式を紹介します。
その高い配当利回り、見せかけではありませんか
- 利回りが高いのは、業績が悪化して株価が下がったせいではないか
- 配当は、普段の利益の範囲に収まっているか
- 配当を、稼いだ現金で払えているか
配当利回りの高さだけで会社を選ぶと、ときどき「罠」にかかります。業績の悪化で株価が下がり、そのせいで利回りが高く見えているだけ、という会社です。こうした会社は、次の決算で配当を減らし、株価もさらに下がることがあります。
配当性向(配当 ÷ 当期純利益)で確かめようとしても、1年だけでは、一時的な特別損失で利益が落ちた年に200%や500%に跳ね上がり、資産の売却益が出た年には低く見えます。何年分かの決算をさかのぼって合計し直せば普段の姿が見えますが、高配当の候補を何十社と並べて1社ずつ確かめるのは大変な手間です。
3年の合計で、配当の裏付けを確かめます
配当性向、赤字の判定、配当の現金での裏付けの3つを、それぞれ3年分の数字で計算し、「罠」の度合いを点数にします。3年の合計どうしで割ると、一時的な損益の影響がならされ、「この会社は普段、利益の何割を配当に回しているか」が見えます。年ごとの比率を平均するより、赤字の年があっても意味のある値になりやすいのも利点です。この先何年も配当を続けられるかを5年の現金の流れで測る方法は、「減配しにくい会社を探す:5年累計のフリーキャッシュフローで配当の余力を測る」で紹介しています。
部品の列
3年合計の赤字は、3年の利益の合計がマイナスなら1、そうでなければ0になる判定です。3年の合計が赤字の会社では配当性向がマイナスになり、そのままでは「配当性向が低い=安全」と読めてしまいます。いちばん危ないこの会社を見逃さないよう、次の点数の式で警戒を満点にします。
罠の度合いを点数にする
- 配当性向:3年で70%なら警戒0、120%以上で警戒1。3年の利益の合計が赤字なら警戒1
- FCF カバー:1倍以上なら警戒0、0倍(現金を稼げていない)で警戒1
最後に、配当利回りを罠の警戒で割り引いた「実力の利回り」を作ります。警戒が0なら利回りはそのまま、警戒が100なら0になります。
計算例
3年間の配当の合計が300百万円、純利益の合計が250百万円の会社は、配当性向が120%で警戒1です。3年のフリーキャッシュフローが150百万円なら、配当のカバーは0.5倍で警戒0.5。罠の警戒は (1 + 0.5) ÷ 2 × 100 = 75です。配当利回りが5%でも、罠を除いた利回りは1.25%まで下がります。
3年の純利益の合計が −100百万円の会社なら、配当性向は −300%になりますが、3年合計の赤字の判定が1なので、配当性向の側の警戒は1です。FCF のカバーが同じ0.5倍なら、罠の警戒は同じく75になります。
読み方
- 罠の警戒が高く、利回りも高い:利回りの高さが続かない可能性が高い。減配の有無を適時開示で確かめる
- 罠の警戒が低く、利回りが高い:利益と現金に裏付けのある高配当。候補として深掘りする
- 配当性向は高いが FCF カバーは十分:減価償却の大きい会社など、利益より現金が多い会社。必ずしも罠ではない
注意点
- 3年の利益の合計がちょうど0の会社は、配当性向の割り算ができず空欄になる
- 記念配当・特別配当を出した年は、配当が一時的に多い
- 配当利回りは今の株価と会社の予想配当から計算した最新の値。決算の数字とは時点がずれる
企業データラボなら、高配当の罠を全上場企業から一度にふるい分け
企業データラボのカスタム列なら、3年の合計を使った配当性向も、過去の期を「[1]」「[2]」で参照して1つの式で書けます。式を1つ作れば約3,700社すべてに当てはまり、配当利回りと同じ表に並べて比べられます。
「罠を除いた利回り」で並べ替えれば、裏付けのある高配当の会社が上に来ます。罠の警戒が高い会社を絞り込んで外す、といった使い方もできます。
高配当の会社を、3年分の配当性向と現金の裏付けで約3,700社まとめてふるい分けられます。
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